ARAKAWA+GINSという経験 -22世紀身体論を目指して-

5月24日(

 

荒川修作、マドリン・ギンズが、一時的に(?)消えてしまった今、彼らはわれわれに何を提示したのであり、提示しつづけているのだろうか。荒川+ギンズの仕事は、本質的に「さらに続く・・・to be continued」ものと考えられる。われわれはそれをどのように継続していけばよいのだろうか?

かつて(そして今も時々)フッサール現象学をちまちまと読んでいた(であろう)3人の研究者(稲垣・染谷・三村)は、それぞれ関心領域を広げ、リハビリテーション・知の生態学的転回・フォーカシングなどの問題群に取り組んでいる。これらの主題は、「身体」というキーワードによってつながることは当然だが、同時に荒川+ギンズの思想・プロジェクトとも密接な関連をもっている。21世紀を生きるわれわれは、22世紀・100年先を見通して、身体、環境、生命を問いつづけなければならない、「天命反転」を達成するために。その作業に、稲垣・染谷・三村の3人が着手する。

三村尚彦 (関西大学文学部教授)

 

イベント概要

開催日時 2014年5月24日(土)
開 演 14:00(開場 13:30 / 終了予定 18:30)
会 場 三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller 気配コーディネーティングの部屋
参加費/定員 3,000円/ 30名
※会終了後に懇親会を予定しています(参加費別途 ¥1,000)
お申込方法

下記申込みフォームよりお申込みください。

お申込みが多数の場合、先着順とさせていただきます

(お一人につき1回、2名様まで)

主催

 

ABRF, Inc.
協力/共催 東洋大学「エコ・フィロソフィ」学際研究イニシアティブ

 

講師プロフィール

三村尚彦 (関西大学文学部教授)
1964年生。フッサール現象学の研究から出発し、現在はアメリカの臨床心理学者ユージン・ジェンドリンが提唱する体験過程理論、プロセスモデル理論を手がかりにして、フォーカシング指向現象学を模索中。言葉にならないが暗黙的に感じられている身体的意味(felt sense)の「複雑さthe intricacy」を用いた、一人称的な体験記述の精緻化を目指している。論文に「そこにあって、そこにないもの ―ジェンドリンが提唱する新しい現象学―」(『フッサール研究』第9号 2010、http://husserl.exblog.jp/15686451/)、共訳書にヴァルデンフェルス『経験の裂け目』(知泉書館、2009)等がある。

 

染谷 昌義 (生態哲学、生態現象学、生態心理学)
1970年生。職は大学教員。昔は精神物理学と実験心理学、それから哲学(現象学)、それから環境と生命の存在態の思索に転向して今に至る。メンタルではなくサイコロジカルな心のはたらきとは、生き物がその取り囲みから受ける力を受容し、その場に相応しい応答を全身で作り上げることだと思うようになった。アリストテレス流のアニマ心理学の実現を本気で思い描いている。共著書、『知の生態学的転回1 身体』(編者、東京大学出版会、2013)、『ディスポジション』(現代企画室、2008)、『環境のオントロジー』(編者、春秋社、2008)など。共訳書、Edward Reed『魂から心へ』(青土社、2000)など。

稲垣諭 (自治医科大学医学部教授)
1974年生。フッサール現象学を起点にしてリハビリテーション臨床、精神科臨床の現場から、来たるべき身体の哲学を模索。人間の身体には、生物学的、生態学的、現象学的、社会学的な制約が、思考の習い性のように幾重にも纏わりついている。それら制約をひとつひとつ解除していったとき、身体はどうなってしまうのか。単なる自滅か、あるいは迸る希望か?ARAKAWAとMadelineは何を選択しようとしていたのか?
著書に『衝動の現象学』(知泉書館、2007)、『リハビリテーションの哲学あるいは哲学のリハビリテーション』(春風社、2012)、訳書に荒川修作+マドリン・ギンズ『死ぬのは法律違反です』(河本英夫共訳、春秋社、2007)等がある。

 

司会・進行・コメンテーター
安斎利洋 (システムアーティスト)

1956年生まれ。1980年代にCGを始め、自己組織化をテーマに作品を作る傍らCGシステムを開発する。「SuperTableau」は、当時の標準的ペイントシステムとして広く使われる。1990年代に、ネットワークを介した創作の連鎖である「連画」を中村理恵子とともに始め、多くのクリエーターを巻き込むコラボレーションを展開。2002 年にその発展形として、進化樹を模した「カンブリアンゲーム」を開始し、現在も継続している。2008年より「触覚的自我」(人間に視覚がなかったらどのような自画像を描くか)、「可能人類学」(あったかもしれない人類のための潜在的辞書)など、ワークショップデザインを通して人間のハッキングを試みている。著書: 『パーソナルコンピュータグラフィックス』(美術出版社1984)共著:『コミュナルなケータイ』(岩波書店2007)など

 

© 2005 Reversible Destiny Foundation. Reproduced with permission of the Reversible Destiny Foundation