昨年よりたくさんの方にご利用いただいている三鷹天命反転住宅ショートステイプログラムをつかって、慶応大学・塩原良和研究会の春ゼミ合宿が行われました。合宿中に建築ツアーを行ったり、合宿の交流会にスタッフをお誘いいただいたり楽しい一週間でした。皆様ありがとうございました。ゼミの皆様より合宿のレポートを頂戴しましたので、こちらでもご紹介させていただきます。
ショートステイプログラムは、ゼミ合宿や研修などいろいろな用途でご利用いただけます。
どうぞお気軽に御相談ください。
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「慶應義塾大学 塩原良和研究会 春ゼミ合宿 終了レポート」
3月2日から1週間、ショートステイプログラムで慶應大学法学部政治学科のゼミ・塩原良和研究会は春合宿を行いました。私たちのゼミでは、文献講読とフィールドワークを通して日本における外国人の現状や問題などを学び、「多文化共生」とは何かを考え、2009年の秋には川崎市ふれあい館の外国につながる子どもたちと「FRIENDSプロジェクト」を立ち上げ、活動映像の上映会を通じた意見交換の場を設けてきました。
「ヘレン・ケラーのために」と題された三鷹天命反転住宅で、自分たちの活動を振り返り、「共に生きる」とはどういうことなのかを考えたい。という願いから、今回の春ゼミ合宿は実現しました。
【住宅と仲良くなるプロセス】
【住宅使用法パンフレットとテーブルになった傘】
合宿1日目の朝は、ABRFスタッフの本間さんと松田さんに、住宅の説明をしていただきました。「2~3歳の子どもでもあり、100歳の老人でもあるという者として、この住戸に入ってみましょう。」など、パンフレットに書かれた住宅の使用法を読み上げ、それらを実際にやってみる、というゲームを何回かやることで、午後は少しずつ、身体を住宅に慣らしていきました。
【合宿1日目夜の交流会 東京外大「アミーゴス」の劇映像鑑賞】
夜の交流会では、(好きな食材を一人一つあげてできたヤミナベ)自称「天命反転鍋」を作り、東京外大在日外国人交流ネットワーク「アミーゴス」の学生と、塩原ゼミ生の活動紹介映像を鑑賞しました。上映後の意見交換では、深い対話が部屋のあちこちで生まれていました。
【卒論テーマ発表】
2日目の卒論プレゼンテーションでは、「異文化としての「老い」」「日本におけるミャンマー民主化グループと自助組織」「ナショナルメモリーの構築とそのゆらぎ」など、多様なテーマについて発表しました。
天命反転住宅でのプレゼンテーションは、吊るした傘がおしゃれなレジュメ置き場になったり、ゆれるハンモックから先生の助言が聴こえてきたり…日常生活では気付かなかったものの意外な機能を発見できた空間で、飛び交う意見はいつも以上に活発で、刺激的なものでした。
晴れた日には住宅を飛び出し、近くの国立天文台や調布飛行場まで散歩をして、飛行場内にあるプロペラカフェでプレゼンテーションしたりもしました。
【左から塩原先生、ゼミ生、パソコン画面上がアルゼンチンに留学中のゼミ生】
最終日には、突如アルゼンチンに留学中のゼミ生からスカイプで着信が入り、パソコンを持って部屋をぐるりと一周。地球の裏側にいる仲間に、ゼミの様子をリアルタイムで伝えることができる現代社会で、時間と空間の「反転」はいつでも起こりうることを感じた瞬間でした。
【合宿中みんなで朝食を作りました】
どこからも見える中央のキッチンで、みんなで作りながら会話が弾む食事は、欠如した味も妄想で埋めてしまうほど。料理から片付けまで自然と協力体制が育まれ、合宿にしては珍しい健康的な食生活を送れました。(笑)
気付いたら集中して6時間以上も話し込んでいた日があったように、浦島太郎になって、竜宮城にいるような感覚を何度も抱きました。球体の部屋を最も危険視していた友人が、気付いたら布団を敷き、ぐっすり眠っていたり。扉のない住宅で、心の扉も開放し、いつもとは違うゼミ生の姿を目にしたり。ゼミ合宿が終わって改めて、日常生活のどこかでこの体験がふと蘇るたび、縮こまった心に風が吹く気がします。
また、新しいゼミ生を迎えて、未知の感覚と新たな出逢いが生まれる瞬間に出逢える日を、楽しみにしています。
濃密な時間を、ありがとうございました。
塩原良和研究会2期生 大川史織
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<参加者の感想>
「天命反転住宅で感じた感覚は、僕がオーストラリアでフィールドワークをするときに感じている感覚と、とても良く似ていることに気が付きました」
「一歩足を踏み入れた時の『なんか変な感じ!』が、いつの間にか快感に。そして、夜が更ける頃にはそれが当たり前になっていました。楽しかったです!」
「私のお気に入りスポットは、梯子の上! 傘を逆さに吊るして、机にしたら議論の裏側も一緒に見えてきて、いつもと違うものの見方が出来るようになりました。純粋に楽しかったです。ありがとうございます。」
「天命反転、体は落ち着かないのに何でだか心は落ち着く場だな、と思い返してます。学校教育で言われる「落ち着きなさい!」ていう精神の真逆をいってるところが好きでした。でもお年寄りにとってはどうかなーとも、帰ってからは思いました。おじいさんおばあさんがああいう処に住めたら理想的なんだけども、現実には絶対骨折して終わるな、と(笑)年取った人に骨折っていうのは、=寝たきりコースに行くことがほとんどだから、実際には住むことはきついかも。それが本当に良いことかわからないけど。」
【塩原良和研究会 ホームページ】
http://www.clb.mita.keio.ac.jp/law/shiobara_seminar/